死、という手法

つい最近観た映画で、どうにも納得のいかない所がありました。
クリント・イーストウッド主演『グラン・トリノ』です。
死を控えた(と解釈させるのが狙いであろう)*1老人が、隣人に性的暴力・銃による暴力を含み日常的に暴力をふるっていた若者達に対して乗り込みます。
老人が銃を持っていると錯覚した若者達(作中で伏線を張っています)が、老人に対して発砲・射殺することにより、彼らは公的制裁を受けます。


この手法、大っ嫌いです。
暴力を受けていた隣人達は、その結末を受け入れることができるのでしょうか?
その手法・その死、ということを、背負っていけるのでしょうか?
レビューでは「老人の死」を採り上げているものが多いのですが、私は残された人達に思いを寄せざるをえません。



この【死】という手法を使ったことで、非常に作品的価値を下落させたと思われる(私にとって忘れたいのに忘れられない)作品をご紹介します。

_ 作品名 コメント
ストーリービル 旧い作品です。DVD化されていないようです。推理モノであるにもかかわらず、最後、犯人が湖上で自殺する。という、とんでも作品。上映された頃は、ツインピークスが流行っており、その人気に安易に乗じた作品。みんなのシネマレビューでもそれなりの評価で安心。
MOONLIGHT MILE 16 (ビッグコミックス) Moonlight Mile 第1部を閉じるにあたり、2大主人公の一人を簡単に殺害した作品。暗殺といっていいのだろうが、あんなにセキュリティの甘い国家機密レベル施設があるのだろうか?という根本的疑念は拭えない。それまでの展開・伏線を、まるで何もなかったかのように、第2部を始めてしまう図々しさ。数多くの漫画を読んでますが、この作品ほど裏切られた感の強い作品はありません。警告します。読んではいけません。時間・労力を含め、資源の無駄です。
バンビ~ノ! 15 (ビッグコミックス) バンビーノ 第1部完。がっかり。この作品も主要人物の一人をあっけなく交通事故で殺してしまいます。殺すほどの必然性がどこにも見出せません。逆にこの作品の主人公がバンビ→あすかに替わってしまったの?とも言いたくなるラストシーン。作者の頭の中も疑ってかかりたいところですが、それを許した編集者も相当の人物です。どうしようもない作品に成り下がってしまった一作。

*1:健康上の理由により吐血を繰り返します。当作のレビューを観てもその解釈が多いようです。が、医学的理由の説明はなされていないのでは??